補足資料
月刊「茶」2010年4月号掲載の「極寒地における茶栽培と品種特性」というの記事の補足資料です.
掲載写真

- 樹皮割れ(bark splitting)
裂傷型凍害と紛らわしい病害(キャンカー[潰瘍])があることを,記事中に記しましたが,もう一つ,ツバキでは樹皮割れという現象が確認されています.Ackerman(2007, p.53)には,次のように述べられています.
Bark splitting appears to be a physiological problem exacerbated by the placement of mulch in direct contact with the trunks of camellia plants. Under these conditions, moisture is held close to the bark tissue where a certain amounts is absorbed by the plants. With freezing weather and formation of ice crystals, the bark expands and tends to cracks vertically. The answer is to limit the mulch layer to about 2 in.(5cm) and keep it about 3 in.(8cm) away from contact with the trunk.
(仮訳)ツバキの幹にマルチが直接触れていると,樹皮割れという生理学的な問題が起きるようである.この様な場合,水分が樹皮組織に接しているので,ある程度の量が植物に吸収されてしまう.寒い日には,その水が凍って,樹皮がふくらみ,縦に割けることになる.これを防ぐには,マルチは5cm以下の厚さで,幹から8cm離して幹に触れないようにする.
裂傷型凍害との関連は分かりません.もし,これらが同じもので同じ機作で発生するものだとすると,Ackermanの慧眼には恐れ入ります.日本ではこれまでに,裂傷型凍害はマルチで増えるという観察はあるものの,他の水を含む物体から水が移動することが原因であると言われたことはなかったと思います.
- 高温花芽分化系統
夏期に花芽分化が起きる植物では,その際に高温を必要とするものがあります.その場合,夏の気温が低いと植物の生育自体には問題なくても,開花が見られないことになります.茶の場合,収穫物は若芽なので,品種特性に問題なければ,開花するかどうかは全く無関係というか,むしろ起きない方が望ましいと考えられます.したがって,もし大株になっても開花しない系統があり,耐寒性,品質等に問題がなければ,品種として扱えます.逆に,開花しないこと以外に際だった耐寒特性がなければ,淘汰対象になります.但し,遠い将来の育種素材にはなりうるので,余裕があれば保存するのも良いかなと思います.いずれにせよ,極寒地ではそのままでは開花しないわけで,後代を得るには温室栽培や温暖地への移植により開花させることが必要となります.
正面玄関
現行版:2010年4月1日
初 版:2010年4月1日
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