DNAマーカーによるチャ品種分類

[研究の目的]
近年、植物遺伝資源の分類にDNAマーカーを利用する研究が進められている。この際、その作物の育種上、重要な形質に関与する遺伝子を対象とするマーカーに用いることは、単なる分類だけでなく、品種特性の評価技術として有効であると考えられる。チャ葉中に多量に含まれるカテキン類は茶の主要な渋味成分だけでなく、多くの保健的機能性を持つため、その含量の制御は重要な育種目標の一つである。効率の良いチャの育種を行うためには、品種・系統によって多様なカテキン含量を含む遺伝資源を評価する方法の構築が必要である。そこでカテキン合成系に関与するフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)cDNA単離を行い、これをプローブにしたRFLP解析によりチャの主要品種の分類を行った。

[研究の成果]
1.アッサム雑種(紅茶系品種)
アッサム雑種群は、緑茶品種に較べ、品種毎に多様なバンドパターンを示し、変異の幅の広いことが認められた。

アッサム雑種群のPAL RFLP解析
1. やぶきた 2.べにほまれ 3.べにふじ 4.べにたちわせ 5.印雑131  6.べにかおり 7.あかね 8.さつまべに 9.べにひかり 10.ただにしき 11.A−10 12.いんど 13.はつもみじ


2.日本緑茶品種
緑茶品種のバンドパターンは2または3本からなっており、アッサム雑種とは異なるため両者を区別することができた。また検出したバンドを高分子の方からA〜Dとマークし、解析したところ、緑茶の品種は5グループに分類された。

PAL cDNAプローブを用いた緑茶品種のRFLPパターン.
1めいりょく(AD) 2ふうしゅん(AB) 3たまみどり(AA)  4あさぎり(DD) 5やぶきた(BD)


3.遺伝様式の解析
共通に検出されるCを除き、多型を示したバンドの遺伝様式を調べると、BD個体どうしの交配からはBB, BD, DDがそれぞれ1:2:1の比で、BDとAA個体の交配からはABとADが1:1の分離比で後代が得られた。

PAL断片の遺伝様式
交配親後代の遺伝子型と個体数
さやまかおり(BD)×やぶきた(BD)BBBDDD*
12
さやまかおり(BD)×Z1(AA)ABAD**
1814
期待される分離比 *1:2:1、**1:1

この結果よりA,B,Dはそれぞれ一遺伝子座の複対立遺伝子として遺伝することが明らかとなり、5グループをPAL遺伝子型によりAA,AB,AD,BD及びDDに分類できた。

PAL RFLP解析による緑茶品種の分類
PAL遺伝子型緑茶品種および系統
AA たまみどり、くりたわせ、Z1、みよし、きょうみどり、 あさひ、ごこう、こまかげ、うじひかり、ひめみどり
AB かなやみどり、さやまみどり、ふうしゅん、たかちほ
AD めいりょく、しゅんめい、あさつゆ、うじみどり、ふくみどり
BD やぶきた、さやまかおり、さえみどり、するがわせ、とよか
DD あさぎり、なつみどり、こまかげ、ろくろう

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