表面が強く光る酵母を利用してパン生地中の酵母分布を可視化 |
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この実験には、パン酵母の表層にあるタンパク質から創り出したEGFP酵母を使用しました。 EGFPは、「変異体緑色蛍光タンパク質」とも呼び、このタンパク質を発現させることで、パン酵母の表層を強い蛍光で標識することができます。(下、1番上の図)
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この酵母を使い、直捏法(ストレート法)というパンの製法で生地を作り、ミキシングの各段階毎にサンプルを取りました。
サンプルをとったミキシングの段階は、以下の5通りです。
1.ピックアップ (材料に水を加えて混ぜただけで生地にはなっていない状態)
2.クリーンナップ (生地としてつながりを持った状態)
3.ディベロップメント (生地に艶や滑らかさが出てきた状態)
4.ファイナル (生地を伸ばすと、薄く滑らかに伸びる状態)
5.オーバーミキシング (生地に弾力がなく、湿り気と粘着性がある状態)
取ったサンプルは、急速凍結させ、メロンの糖度分布を見たときのようにスライス画像を取得するための装置(3次元スペクトルイメージングシステム)で厚さ1μm毎に連続してスライスし、断面画像を取得しました。(1サンプルにつき約300枚)
その後、この画像をボリュームレンダリング法により3次元構築しました。 その際、パン酵母を全て同じ色でマッピングしてしまうと、3次元上で重なっている酵母がわからなくなってしまうため、個々を異なった色で表示するようにしました。
そして、この3次元画像からX、Y、Z軸で回転できるアニメーションを作り、パン酵母の分布状況を様々な角度から観察しました。
左図の中段と下段がその画像です。 中段にあるものは、ピックアップ時の3次元画像です。 この状態では、パン酵母が偏っているのが判ります。
下段にある画像は、食パン作りに最適とされているファイナル時でパン酵母がパン生地中に均一に分布していることが判ります。さらに、オーバーミキシング時には、酵母が再び偏ることも明らかになりました。 これは、ミキシングのしすぎによって、グルテンのネットワーク構造が壊れ、均一に分布していた酵母に影響を与えたものと考えられます。
以上のように、本手法により、これまで職人の経験と勘によって作られていたパン生地の酵母分布を直接観察することが可能になりました。 この手法を他の製パンプロセス解明へ応用すれば、製パン技術を定量化し、その情報を元に安定した高品質な製品を作ることも可能になると考えられます。
また、パンに限らず、調理・加工されたものも含めた食品の構造を観察する解析ツールへの展開も期待されています。
以下で3次元の動画がご覧になれます。

3次元可視化関連の論文は  |
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