タイトルイメージ
打音の振動波を利用して、非破壊で果実の熟度を測定する装置を開発

メロンの振動の伝わり方    
 ・MPEG方式(4.2MB)

 

スイカの振動の伝わり方
MPEG方式(2.5MB)












 動画中の円は、メロンの上部から見た 赤道を表しており、上部から落ちてくる玉(左図では振り子)で叩いた後の音圧の変化を時刻経過とともに表示しています。(円より内側は負の音圧、外側は正の音圧を示しています。)

 この画像は、2次元での変化を表したものですが、3次元(球体のメロンの中)では、振動は打点のちょうど反対側で一旦集まって大きくなり、その後交差して打点に向かって戻り、再び交差して反対側へ、と減衰しながら続いていきます。

 メロンの動画では、収穫直後の振動波を緑で、翌日のものを赤で表示しており、たった1日でも伝搬速度に差が出てくることがわかります。


【補足】 動画は、以下の方法で作製しました。

1.メロンの赤道面を24分割にし、玉(振り子)の落ちる近傍 3ヶ所を除いた 21ヶ所にマイクを置き、打音を同時に収録する。

2.収録した21本の打音信号をデジタル化し、コンピューター内で時間毎に音圧をマッピングする。


3.マッピングしたデータを元に、時間毎の音圧分布図を次々に表示させる。

(※ここのページにある動画は、VHSのテープをファイル化したものです。)
上記のメロンの動画を1つずつ止めて見ると、下図のようになります。



 このような伝搬現象が起こるスピードを調べてみると、果実が硬いと伝搬速度が速く、柔らかいと速度が遅くなるということがわかりました。 この現象は、楽器のギターと全く同じ原理(ギターは弦を硬く張ると振動数が大きくなり音が高く、逆に緩くすると低い音になります。)で、私たちが、スイカを購入するときに叩いていたのも、実は、この原理による音の違いにおける熟度判定だったと言えます。

 
そこで、人間の感覚的な判断ではなく、圃場でこの伝搬速度を計測して客観的に熟度判定できる装置を作れないかと考え、横河電機株式会社との共同研究により、ピストル型の熟度計を開発することとなりました。

携帯可能な熟度形の開発



 左上の写真が、その熟度計です。 トリガを引き、プランジャーでメロンの赤道面を叩いて2つのマイクでその音を拾います。 それぞれのマイクが音を拾う時間の差から伝搬速度を算出するようになっています。

 
この装置を使用して得たデータが左下の図です。

 折線グラフの青線は伝搬速度、ピンク線はマスクメロンの外周を表しています。 
 マスクパターンがまだ出ていない状態から計測を開始すると、メロンの成長につれて、伝搬速度が上昇していくことが確認できました。 その伝搬速度がピークを迎えると、メロンの表面に一気に亀裂が走り、マスクパターンの形成が始まりました。 その後、速度は下降、 メロンを収穫した後は、追熟による軟化のため、急激に下がっていきました。


 
今まで農家で感覚的に推測していたメロンの熟度は、この装置により客観的に判断する事を可能にしました。
 
何度かの試作と試験を繰り返した後、現在は(株)東洋精機より『携帯用非破壊熟度測定機(Firm Tester SA-I)』として市販されるに至っています。
 また、対象もメロンだけでなく、洋なし(ラ・フランス等)、マンゴー、アボガドなどにも利用することができます。


               打音に関する論文一覧は