IT(情報技術)という言葉もすっかり定着しましたが、そのITの一つとして期待されているのがGIS(地理情報システム)です。GISは地図とデータベースを組み合わせて、情報を素早く検索したり、多くの情報を分析したりして、その結果をわかりやすい地図の形で表示するシステムです。
近年GISが注目を集めるきっかけとなったのは、阪神・淡路大震災の復興作業にこのGISを利用したシステムが大いに活躍したことやビジネス分野では新たな出店計画などのマーケティングでの活用事例が紹介されるようになったことがあげれらます。
身近な例としてはカーナビがありますが、これは現在位置を取得するGPSとGISを組み合わせた製品です。また、いくつかの地図会社が提供しているインターネットによる地図情報サービスもGISの一種です。
農業においては、土地を生産の基盤とすることから多くの地図が使われていますが、この地図を使う業務の支援にGISは利用されはじめています。例えば水田の転作状況の確認や農地利用・作業受委託の調整を行うシステムなどで導入の実績があります。
平成13年度から実施されている中山間地等直接支払制度においても、対象となる農地の選定や農地面積の集計、傾斜度測定等をサポートするため、多くの自治体でGISをベースとするシステムが導入され、利用されました。
果樹では、選果場に光センサ等の導入が進み、園地ごとの詳細な果実情報が蓄積されてきています。その情報を分析して、高品質で安定的な果実生産を行うためのGIS作りに取り組んでいる産地もあります。
実際のシステムでは、GISという言葉が使われていないことも多いのですが、農業を含めて地図を利用する多くの分野において、これからも様々な場面にGISが使われ、身近なものになっていくことと思います。