世界標準規格のノンパラメトリック回帰を日本語で

ジェフリー S. シモノフ 著、竹澤邦夫・大森宏 訳

「平滑化とノンパラメトリック回帰への招待」
(財)農林統計協会(1999年1月16日発売 本体価格 5,700円、ISBN 4-541-02398-9)



 農林統計協会の御厚意により、本書の第2刷が出来上がりました(2003年4月)。インターネット書店などから御注文ください。



 ノンパラメトリック回帰の広場を設けました。この本の内容に関する読者の方々からの御質問や御意見に加えて、関連した問題や翻訳に関する話題を掲載します。



 日本語史上初のノンパラメトリック回帰の教科書です。ノンパラメトリック回帰の基礎から応用・発展までがまとまった1冊です。ニューヨーク大学経営学大学院の講義を身近に感じ取ることができます。データから有意義な情報を引き出すことを企図するあらゆる人に必携の書です。
 近年、ノンパラメトリック回帰の応用事例が急激に増加し、農学や生物学に関わる分野はもとより、行動科学や計量経済学などの分野でもその有用性が高く評価されています。その結果、数多くの方々から、ノンパラメトリック回帰を日本語で学びたい、という熱い声が聞かれるようになりました。そして、1997年度より 農林水産省 統計情報部における平年収量の計算にノンパラメトリック回帰が導入されるに及んで、日本語のノンパラメトリック回帰の教科書と言えるものが出版されていないことに対する関係者への批判を看過できないと感じられてきました。
 こうした事態を打開すべく関係各方面への働きかけを行いました結果、日本においてノンパラメトリック回帰が置かれている状況を改善することが、データ解析に関わる諸分野を始め、現象の数理的表現を旨とする分野の健全な発展に大きく寄与するという考えに、多くの方からの共感をいただくことができました。その結果、商業的には成り立ちにくいと思われる今回の出版計画に対し、(財)農林統計協会からの快諾が得られました。そして、綿密な編集作業を行っていただき、遂に出版のお知らせができる運びになった次第です。
 本書の原書(↓)は、この分野の教科書の中でも初心者に対する配慮、多くの実例、最新の文献とソフトウエアの紹介の充実度などの点で秀でたものとして既にその評価を確立しています。

Jeffrey S. Simonoff(1996): Smoothing Methods in Statistics.

Springer-Verlag, ISBN 0-387-94716-7.

 データの凸凹を均すという素朴な概念を出発点として築かれてきたノンパラメトリック回帰は、実用的な需要に理論的な進歩が応え、理論的な進歩が多くの実用的なアルゴリズムやコンピュータ・プログラムの開発を促すという技術開発の理想的な形を取りながら発展し、今日でも理論と実用の両面における実り豊かな研究開発が続いています。飛躍的な進歩が実現した例を挙げれば枚挙に暇がないとされる20世紀後半の数理科学にあっても、ノンパラメトリック回帰ほど理想的な発展と実用的な成果を生み出した分野は他にないかも知れません。
 今や、ノンパラメトリック回帰は、特殊な目的や格別な嗜好に応える手法ではなく、実用的な数理科学における常識的な知識の一部となりつつあります。ファジィ推論、ニューラルネットワーク、ウェーブレット解析、機械学習などの分野における基本的な知識としてのノンパラメトリック回帰の重要性が高まっています。更に、現象を科学的に捉えるとはどういうことかという科学研究の基本に 関わる問題に関してもノンパラメトリック回帰が重要な示唆を与えることが指摘されています。
 ノンパラメトリック回帰について勉強したいと思っていたけれども日本語でないと取っ付きにくいと思っていた方にも、人工知能研究の基礎的な概念としての平滑化に注目している方にも、凸凹を均すという単純な概念が繰り広げる多様な理論展開に心惹かれる方にも、滑らかで美しい曲線や曲面を自在に操りたい方にも、手持ちのデータがより有用な情報を生み出してくれそうだと思いながらも妥当な方法が見つからない方にも、平滑化やノンパラメトリック回帰についてはかなり勉強しているけれども最近の事情も知りたい方にも、S-plusを利用したデータ解析とグラフ化の華麗な成果に触れたい方にも、データ解析に関する素養の一部として平滑化やノンパラメトリック回帰についても身につけておきたい方にも、日本語で書かれた初めてのノンパラメトリック回帰の教科書という貴重な文献を蔵書に加えたい方にも、本書は必ずお役に立ちます。



 本書の表紙の写真がこちらにあります。あの林檎は何だ、という声があるようです。が、あれは梨です。この表紙は原本とは全く違うもので、(財)農林統計協会 編集部の高橋真理子さんが製作されたものです。私としては、あの瑞々しい梨は、この本が極めて新鮮な材料をたくさん扱っていることを象徴している、と解釈したいのですが、いかがでしょうか。
 っというようなことを考えているところに新たな情報。「ザ・テレビジョン」という雑誌の表紙には毎回レモンが使われていて、新鮮な情報を扱っていることを象徴しているらしいです。そうなると、日本では、果物は単なる日常的な食べ物ではなく、新鮮、活力、稀少、祝祭などを象徴するものとして扱われる傾向が現在でも幾らか残っているという話にも関係がありそうに思われます。このあたりについて、日本における果物の文化人類学的意味に詳しい方からのお便りをお待ちしています。
 などと書いていた折り、あれは梨ではなくやはり林檎ではないか、「王林」という品種はあんなふうだ、というお便りをいただきました。その筋の本を調べてみると、確かに表紙の写真とそっくりなものが「王林」として紹介されています。林檎を切ったり潰したりせずに果肉の糖度を推定する、というような装置の話はよくあります。しかし、写真だけを使って林檎と梨を判別する装置というのはなさそうです。林檎と梨を外見から区別するための決定的な特徴量はあるのでしょうか、あるいは全体的なパターン認識が必要なのでしょうか。




ノンパラメトリック回帰の広場の表紙

竹澤邦夫のWWWページの玄関