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MapServerはOpenGIS Web Mapping Server仕様を満たすウェブマッピングサーバです。
MapServerのウェブサイトはhttp://mapserver.orgです。
The OpenGIS Web Map Specificationはhttp://www.opengeospatial.org/standards/wmsにあります。
MapServerでPostGISを使うには、MapServerのコンフィギュレーション方法についての知識が必要ですが、この文書の範囲外です。この節では、PostGIS特有の問題とコンフィギュレーション詳細について記載します。
PostGISをMapServerで使うには、次のものが必要です。
PostGIS 0.6以上
MapServer 3.5以上
MapServerは、他のPostgreSQLクライアントのように、libpq
インタフェースを使って、PostGIS/PostgreSQLデータにアクセスします。よってMapServerはPostGISサーバにアクセスするネットワークを持つ計算機にインストールでき、PostGISをデータソースとして使用することができます。システム間の接続は速いほど良いです。
"--with-postgis"と好きなconfigureオプションを付けてMpaServerのコンパイルとインストールを行います。
Mapserverのmapファイルの中に、PostGISレイヤを追加します。たとえば次のようになります。
LAYER CONNECTIONTYPE postgis NAME "widehighways" # リモートの空間データベースに接続 CONNECTION "user=dbuser dbname=gisdatabase host=bigserver" PROCESSING "CLOSE_CONNECTION=DEFER" # 'road'テーブルの'geom'カラムから線を取得 DATA "geom from roads using srid=4326 using unique gid" STATUS ON TYPE LINE # 範囲内の線のうち広い高速道路のみ描画 FILTER "type = 'highway' and numlanes >= 4" CLASS # スーパー高速道路は、明るくし、2ピクセル幅にする EXPRESSION ([numlanes] >= 6) STYLE COLOR 255 22 22 WIDTH 2 END END CLASS # 残りの道路は、暗くし、1ピクセル幅にする EXPRESSION ([numlanes] < 6) STYLE COLOR 205 92 82 END END END
上の例におけるPostGIS特有のディレクティブは次の通りです。
PostGISレイヤにするには、ここは常に"postgis"になります。
データベース接続は「接続文字列」によって制御されます。接続文字列は、次に示すような標準的なキーと値からなります(<>内はデフォルト値)。
user=<username> password=<password> dbname=<username> hostname=<server> port=<5432>
空の接続文字列も妥当とされますし、あらゆるキーと値のペアは省略できます。接続するためには一般的にはdbnameとusernameとが最少で与えるものとなります。
このパラメータの形式は"<カラム> from <テーブル名> using srid=<srid> using unique <主キー>"です。ここで、カラムは地図に描画する空間カラムで、SRIDは、カラムが使用するSRIDで、主キーはテーブルの主キー(または他の、インデクスを持つユニークな値のカラム)です。
"using srid"と"using unique"節は省略可能です。MapServerは可能なら自動的に正しい値を決定しますが、マップを描画するたびにいくつかの追加クエリを実行するコストがかかります。
接続を閉じずに、複数のレイヤで再利用する場合にCLOSE_CONNECTION=DEFERを設定します。これで速度が改善します。より詳しい説明についてはMapServer PostGIS Performance Tipsを参照して下さい。
フィルタは、妥当なSQL文字列でなければなりません。普通はSQLクエリ内で"WHERE"キーワードに続く論理式に沿います。たとえば、6レーン以上の道路のみをレンダリングするには、フィルタを"num_lanes >= 6"とします。
空間データベースにおいては、空間(GiST)インデクスを、マップに描かれるレイヤ全てに構築していることを保証して下さい。
CREATE INDEX [インデクス名] ON [テーブル名] USING GIST ( [ジオメトリカラム名] );
MapServerを使用するレイヤのクエリを実行する場合には、"using unique"節もDATAステートメントに追加しなければなりません。
MapServerでは、クエリ実行の際には、それぞれの空間レコードを識別するための一意な識別子が必要です。MapServerのPostGISモジュールは、一意な識別子を提供するために、ユーザ指定の一意な値を使います。テーブルの主キーを使うのが最も良い方法です。
USING
疑似SQL節を使ってMapServerがより複雑なクエリの結果を理解できるようにするための情報を追加します。より詳しく言うと、ビューまたは副問い合わせが元テーブル(DATA
定義で"FROM"の右にあるもの)として使われる時、MapServerが自動的に一意な識別子がそれぞれの行にあるか、また、SRIDがテーブルにあるかを判別するのは困難です。USING
節によって、MapServerがこれらの情報を得ることができます。例を次に挙げます。
DATA "geom FROM ( SELECT table1.geom AS geom, table1.gid AS gid, table2.data AS data FROM table1 LEFT JOIN table2 ON table1.id = table2.id ) AS new_table USING UNIQUE gid USING SRID=4326"
Mapserverは、マップクエリを実行する際、行識別のために、それぞれの行に一意な識別子を求めます。通常ならシステムテーブルから主キーを識別しますが、ビューや副問い合わせでは、一意性のあるカラムを自動的に知ることができません。MapServerのクエリ機能を使いたいなら、一意性のあるカラムをビューまたは副問い合わせに追加する必要があり、そのカラムにUSING UNIQUE
宣言を付ける必要があります。たとえば、この目的のための主キー値のテーブルでのカラム名や、結果セットで一意性が保障されたカラムを明示的にSELECTに入れることができます。
「マップクエリ」はップ上でクリックして、その場所におけるフィーチャーに関する情報を問い合わせる動作です。「マップクエリ」と |
PostGISは、MapServerに正しいデータを返すために、ジオメトリがどの空間参照系を使っているかを知る必要があります。通常は、この情報はPostGISデータベースの「geometry_columns」テーブルから得ることができます。しかし、副問い合わせやビューのような一時テーブルでは、この方法は不可能です。そこで、USING SRID=
オプションを使って、正しいSRIDがDATA
定義で使われるように指定します。
簡単な例から始めて、ステップアップしていきましょう。次のMapServerレイヤ定義を考えて下さい。
LAYER CONNECTIONTYPE postgis NAME "roads" CONNECTION "user=theuser password=thepass dbname=thedb host=theserver" DATA "geom from roads" STATUS ON TYPE LINE CLASS STYLE COLOR 0 0 0 END END END
このレイヤは"roads"テーブルにある道路ジオメトリの全部を黒線で表示するものです。
では、少なくとも1:100000にズームするまでは高速道路だけを表示したい、と言ってみましょう。次の2つのレイヤで、その効果が実現できます。
LAYER CONNECTIONTYPE postgis CONNECTION "user=theuser password=thepass dbname=thedb host=theserver" PROCESSING "CLOSE_CONNECTION=DEFER" DATA "geom from roads" MINSCALE 100000 STATUS ON TYPE LINE FILTER "road_type = 'highway'" CLASS COLOR 0 0 0 END END LAYER CONNECTIONTYPE postgis CONNECTION "user=theuser password=thepass dbname=thedb host=theserver" PROCESSING "CLOSE_CONNECTION=DEFER" DATA "geom from roads" MAXSCALE 100000 STATUS ON TYPE LINE CLASSITEM road_type CLASS EXPRESSION "highway" STYLE WIDTH 2 COLOR 255 0 0 END END CLASS STYLE COLOR 0 0 0 END END END
1つ目のレイヤはスケールが1:100000以上であるときに使われ、道路タイプが"highway"である道路のみ黒線で表示されます。FILTER
オプションによって、道路タイプが"highway"の場合のみ表示することになります。
2つ目のレイヤはスケールが1:100000未満である時に使われ、"highway"は赤い二重細線で表示され、他の道路は黒線で表示されます。
さて、Mapserverの機能を使うだけで、2つのおもしろいことを実行しました。しかし、DATA
のSQLステートメントは、単純なままです。道路名が(どういう理由かは知りませんが)他のテーブルに収められていて、それのデータを取得するためにテーブルを連結して、道路のラベルを取る必要がある、とします。
LAYER CONNECTIONTYPE postgis CONNECTION "user=theuser password=thepass dbname=thedb host=theserver" DATA "geom FROM (SELECT roads.gid AS gid, roads.geom AS geom, road_names.name as name FROM roads LEFT JOIN road_names ON roads.road_name_id = road_names.road_name_id) AS named_roads USING UNIQUE gid USING SRID=4326" MAXSCALE 20000 STATUS ON TYPE ANNOTATION LABELITEM name CLASS LABEL ANGLE auto SIZE 8 COLOR 0 192 0 TYPE truetype FONT arial END END END
このANNOTAIONレイヤでは、縮尺が1:20000以下のときに、全ての道路に緑色のラベルを表示します。また、この例は、DATA
定義で、SQLのJOINを使用する方法も示しています。
Javaクライアントは、直接的にテキスト表現として、またはPostGISにバンドルされているJDBC拡張オブジェクトを使用して、PostgreSQLデータベース内にある、PostGISの"geometry"オブジェクトにアクセスできます。拡張オブジェクトを使うためには、"postgis.jar"ファイルを、JDBCドライバパッケージの"postgresql.jar"とともに、 CLASSPATHに置く必要があります。
import java.sql.*; import java.util.*; import java.lang.*; import org.postgis.*; public class JavaGIS { public static void main(String[] args) { java.sql.Connection conn; try { /* * JDBCドライバをロードして接続を確立します。 */ Class.forName("org.postgresql.Driver"); String url = "jdbc:postgresql://localhost:5432/database"; conn = DriverManager.getConnection(url, "postgres", ""); /* * ジオメトリ型を接続に追加します。 * ご注意 : addDateType()を呼ぶ前に * 接続をpgsql特有の接続実装にキャストしなければなりません。 */ ((org.postgresql.PGConnection)conn).addDataType("geometry",Class.forName("org.postgis.PGgeometry")); ((org.postgresql.PGConnection)conn).addDataType("box3d",Class.forName("org.postgis.PGbox3d")); /* * ステートメントの生成とSELECTクエリの実行を行います。 */ Statement s = conn.createStatement(); ResultSet r = s.executeQuery("select geom,id from geomtable"); while( r.next() ) { /* * ジオメトリをオブジェクトとして検索してジオメトリ型にキャストします。 * オブジェクトを印字します。 */ PGgeometry geom = (PGgeometry)r.getObject(1); int id = r.getInt(2); System.out.println("Row " + id + ":"); System.out.println(geom.toString()); } s.close(); conn.close(); } catch( Exception e ) { e.printStackTrace(); } } }
"PGeometry"オブジェクトは、 Point, LineString, Polygon, MultiPoint, MultiLineString, MultiPolygonの各型に依存する、特定のトポロジカルジオメトリオブジェクト("Geometory"抽象クラスの子クラス)を持つラッパオブジェクトです。
PGgeometry geom = (PGgeometry)r.getObject(1); if( geom.getType() == Geometry.POLYGON ) { Polygon pl = (Polygon)geom.getGeometry(); for( int r = 0; r < pl.numRings(); r++) { LinearRing rng = pl.getRing(r); System.out.println("Ring: " + r); for( int p = 0; p < rng.numPoints(); p++ ) { Point pt = rng.getPoint(p); System.out.println("Point: " + p); System.out.println(pt.toString()); } } }
幾何オブジェクトのさまざまなデータアクセサ関数に関する参照情報については、拡張オブジェクトのJavaDocをご覧下さい。